2024年のパリオリンピックで初採用競技となったブレイクダンス(ブレイキン)。
カルチャー色が強く、審査の基準が曖昧などと、以前はオリンピック競技としての採用に反対意見も少なくありませんでした。
しかし、近年ブレイキンの世界的な競技人口増加や、採点基準の確立などにより、2016年に国際オリンピック委員会 (IOC) は正式種目としての採用を決定しました。
では、かつては反対意見が多かったブレイクダンスが、なぜオリンピック競技として認められるようになったのでしょうか?
本記事では、反対意見の原因と、それらを覆してオリンピック種目となるまでの経緯、そしてブレイキンの持つ魅力やオリンピック採用がもたらす影響について解説していきます。
- ブレイキンオリンピックでの反対の理由
- ブレイキンオリンピックでなぜ採用か
ブレイキンがオリンピック採用に反対されていた理由
かつてブレイキンのオリンピック採用に反対意見があったのには、いくつかの理由が挙げられます。
理由①カルチャー色が強い
ブレイクダンスは、1970年代のニューヨークのストリートカルチャーから生まれたダンスです。
ヒップホップやグラフィティアートなどと同じく、独自の音楽性やファッション、コミュニティを持ち、競技性よりもカルチャーとしての側面が強く見られていました。
オリンピックは、あくまでもスポーツの祭典というイメージが強く、カルチャー色の強いブレイキンが馴染まないという懸念がありました。
理由②審査の基準が曖昧
ブレイキンのバトルでは、技の難易度や独創性、音楽性、プレゼンスなど総合的な評価が求められます。
しかし、従来のオリンピック競技とは異なり、明確な採点基準がなかったため、審査の公平性に疑問の声も上がりました。
主観的な要素が強い審査は、フェアプレーの精神に反するという意見や、ジャッジの好みによって結果が左右されるのではないかという懸念もありました。
理由③ケガのリスクが高い
アクロバティックな技を多用するブレイキンは、ケガのリスクが比較的高い競技です。
オリンピックは安全第一で開催されるべきとの考えから、選手たちの安全面を危惧する声もありました。
ブレイキンがオリンピックなぜ採用されたのかその理由
反対意見があったにもかかわらず、なぜブレイキンがオリンピック競技として認められるようになったのでしょうか?
そこには、ブレイキンの競技性の向上や、採点基準の整備など、様々な努力が積み重ねられてきました。
競技性の向上と組織化
近年、ブレイキンの世界的な競技人口が増加するにつれて、競技そのもののレベルも向上しています。
国際的な大会が増え、選手たちの技術や表現力は格段に進化しました。
また、World DanceSport Federation (WDSF) が主催する「Breaking for Gold」など、公式の大会シリーズが確立され、世界共通のルールや採点基準が整備されました。
これにより、ブレイキンの競技性を高め、オリンピック採用へのアピールポイントとなりました。
採点基準の明確化とフェアプレーの徹底
かつては曖昧だった採点基準も、WDSFを中心に明確化が進められました。
技の難易度や独創性、音楽性、バトルにおける戦略性やプレゼンスなど、各要素を数値化する基準が設けられ、フェアなジャッジングが行われるようになりました。
さらに、ジャッジの選考や研修制度も強化され、高い倫理観と専門性を備えたジャッジが選出されるようになりました。
ブレイキンの持つ魅力と世界的な広がり
ブレイキンの持つ魅力も、オリンピック採用を後押ししました。
ブレイキンは、音楽性、技の難易度、独創性、バトルにおける精神力など、様々な要素が融合した芸術性の高いダンスです。
また、ストリートカルチャーとしての背景を持ち、若者を中心に世界中で支持されています。
オリンピックは、若い世代の関心を引きつけるために新しい種目を導入することを積極的に検討しています。
ブレイクダンスは、若者の間で非常に人気があり、彼らの興味を引くための有力な手段として注目されました。
新しい観客層を獲得するためには、伝統的なスポーツだけでなく、現代的でダイナミックな競技も必要とされています。
オリンピックへの採用は、ブレイキンの魅力を世界に発信し、競技人口のさらなる拡大や発展に繋がるという期待も込められていました。
ブレイキンのオリンピック採用がもたらす影響
2024年のパリオリンピックで初採用されるブレイキンの競技は、オリンピックとブレイキン双方に大きな影響をもたらすことが予想されます。
オリンピックとストリートカルチャーとの融合
オリンピックは近年、視聴者層の高齢化が課題となっていました。
ブレイキンの採用は、若者世代の関心を高め、オリンピックをより盛り上げるきっかけになると期待されています。
また、従来のオリンピックとは異なるストリートカルチャーの要素を取り入れることで、大会のイメージを刷新し、新しい層を取り込むこともできるでしょう。
競技人口の増加
ブレイクダンスがオリンピック競技として採用されたことにより、競技人口の増加が期待されています。
特に、若者を中心にブレイクダンスに興味を持つ人が増え、各国でのブレイクダンスの普及が進むでしょう。
これにより、国際的な競技レベルも向上し、より高度なパフォーマンスが見られるようになります。
競技環境の整備
オリンピック競技としての採用に伴い、ブレイクダンスの競技環境も整備されます。
専門のトレーニング施設やコーチングシステムが充実し、選手たちはより良い環境で技術を磨くことができます。
また、各国のダンス連盟やスポーツ団体も、ブレイクダンスの発展を支援するための取り組みを強化しています。
メディア露出とスポンサーシップ
オリンピックという大舞台での競技は、メディア露出の増加とスポンサーシップの拡大にもつながります。
ブレイクダンスの選手たちは、メディアを通じてその魅力を広く伝えることができ、競技の認知度も飛躍的に向上します。
これにより、スポンサーからの支援を受ける機会も増え、選手たちはより充実した環境で活動できるようになります。
ブレイクダンスがオリンピックで反対されてたのになぜ採用か理由まとめ
ブレイクダンスがオリンピック競技として採用された背景には、若者の関心を引き付けるため、多様性と包摂性の向上、国際ブレイクダンス連盟の働きかけ、そして2024年パリ五輪の都市戦略などがありました。
これにより、ブレイクダンスは新しい競技人口の増加や競技環境の整備、メディア露出とスポンサーシップの拡大といった多くの恩恵を受けることになります。
ブレイクダンスがオリンピックの舞台でどのようなパフォーマンスを見せるか、今後の展開に大いに期待が寄せられています。
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